絵本『ひらけ!ごかんのとびら』ベトナム語版ができるまで〜AI翻訳と人の手で紡いだ多言語絵本づくり〜

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はじめに

絵本『ひらけ!ごかんのとびら おっくんとブレインくんのふしぎなぼうけん』のベトナム語版を制作しました!

今回は、制作のきっかけや、AI翻訳×ネイティブチェックを重ねた翻訳プロセス、デザインの工夫、そして価格に込めた想いをまとめています。多言語絵本の制作やKDP(Kindle Direct Publishing)出版に興味がある方の参考になれば幸いです。

1. ベトナム語版を作ろうと思った理由

きっかけは、25年ぶりに偶然再会した知人でした。 その方はベトナムへの現地視察をアテンドする仕事をされており、久しぶりにお話を聞くうちに、私自身もベトナムという国に興味を持ちました。

そして、私が絵本を描いていることを伝えると、 「その絵本、ベトナム語版も作ってあちらで販売してみたら?」 と提案してくださいました。

日本で働くベトナムの方が増えている今、これから日本で家族を持ち、定住していくケースも増えていくはず。 「まずは、お互いの言葉や文字に触れることから始めてみたい。それが相互理解の第一歩になるのでは――」 そんな想いから、ベトナム語版の制作に踏み出しました。

2. AI翻訳とネイティブチェックで乗り越えた「翻訳の壁」

翻訳作業は当初、日本語の文の下にベトナム語を添える「1行ずつの対比(行対応)」で進めていました。 Geminiで翻訳し、DeepLで意味の違和感がないか確認・調整する流れです。

しかし、私自身はベトナム語の文法や細かいニュアンスが判断できません。 そこで、知人の会社で働く日本語のわかるベトナム人スタッフの方に、ネイティブチェックをお願いすることにしました。

これで安心……と思いきや、仕上がった文章をClaude、Gemini、ChatGPT、DeepLなどで改めて確認してみると、どうにもしっくりきません。不思議に思ってClaudeに相談してみたところ、大きな原因が判明しました。

そもそも日本語とベトナム語では文法構造が真逆。機械的に1行ずつ対応させようとすると、文章の区切り(ズレ)が生じ、非常に読みづらい状態になっていたのです。

勢いだけで進めてしまった反省もありましたが、出版前にこの構造の違いに気づけたのは大きな収穫でした。

そこからは作戦を変更。Claudeと相談しながら、AI翻訳とネイティブ翻訳を並べて比較し、「意味のまとまり(ブロック)」ごとに文章を再構成していきました。1行ごとの機械的な直訳ではなく、「伝えたいニュアンス」を軸に組み直すことで、ようやく自然で美しいベトナム語表現に仕上げることができました。

3. デザインと制作を支えてくれた、たみさんの存在

日本語版から英語版への展開、各種キャンペーンのクリエイティブなど、私の絵本づくりの基盤をずっと支えてくれたのが「たみさん」です。実は彼女、私の娘なんです。この絵本は、彼女と一緒に作ったと言っても過言ではありません。

彼女には主に以下の編集作業を担当してもらいました。

  • イラストと文字配置のバランス調整
  • フォント選定やレイヤーの修正
  • キャンペーン告知チラシの制作
  • Canva操作の細かなサポート

CADのスキルを持つたみさんの丁寧で確実な作業があったからこそ、今回の新しい挑戦にも安心して向き合うことができました。本当に感謝しかありません。

4. 読みやすさを最優先したフォントとレイアウト

ベトナム語は記号(声調記号)が多く、デザインツール(Canva等)で正しく表示できるフォントが限られています。 試行錯誤の末、今回は日本語・ベトナム語ともに「Arial Unicode」に統一しました。

一番大切にしたのは「とにかく読みやすいこと」。 どちらの言語で読んでもストレスがない配置を最優先し、文字を入れた後にイラストのサイズや位置も細かく微調整して、ページ全体として美しく見えるバランスを追求しました。

5. 480円という価格に込めた想い

販売価格は、日本語版と同じ「480円」に設定しました。

バイリンガル絵本という手間のかかる形ではありますが、どれだけ丁寧に作っても、手に取ってもらえなければ意味がありません。「国籍を問わず、誰もが気軽に読める本にしたい」という想いを、この価格に込めています。

6. 完成して感じたことと、多様性への想い

今回の絵本づくりは、私一人の力では絶対に完成しませんでした。 たみさん、夫、知人、翻訳をしてくれたベトナムの方、そしてClaudeをはじめとするAIたちの力があってこそ、形にすることができました。心から感謝しています。

これから日本で暮らし、家族を築き、子育てをする外国籍の方はますます増えていくでしょう。 その中で大切になるのは、「自分にとっての『当たり前』が、相手にとっての『当たり前』ではない」という気づきだと思います。

その気づきの先にあるのが、「多様性」という価値観です。 言葉としては身近ですが、実際に異なる文化や言語に触れてみないと実感しにくいものでもあります。

他者を理解するためには、まず自分自身を理解すること。 そして、自分も他者も同じように尊重して初めて、真の意味での多様性が芽生える――

これが、今回の制作を通して私が出した答えです。

この絵本が、互いを理解し合うための小さなきっかけとなれば嬉しいです。 ベトナム語版が日本とベトナムを繋ぐ架け橋となり、たくさんの子どもたちや大人たちに届くことを願っています。

気になった方は、ぜひ絵本を手に取ってみてくださいね!

絵本『ひらけ!ごかんのとびら』はこちらから

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